不動産に関する権利として、所有権以外に占有権や敷地権があります。
占有権
占有権は、物を支配する権利です。民法第180条において、「占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する」と規定されています。これを「自主占有」と言い、とても分かりづらい規定ですが、ポイントは「自己のためにする意思をもって」「所持」することです。
自己のためにする意思が「無い」場合を考えれば分かりやすいです。これは以下の3つです。
1. 庭に投げ込まれたボールや他人にこっそりカバンに入れられた麻薬など
2. ちょっくら貸して
3. 意思無能力者
これ以外は、「自己のためにする意思をもって」「所持」すると考えると良いです。このため、人の物を盗んだ盗人は、ちょっくら貸してではなく、自分の物とする意思(所有する意思)が「有り」となります。

物を占有することにより、所有権を時効取得する※などのある種の実益があります。逆に、赤の他人に自分の物を時効取得させないため、自己の権利を主張することが必要です。なお、占有権は「占有」という外形的な事実に基礎を置く権利であるため、登記することはできません(登記によって公示する必要がありません)。※他人の物と知っているか(悪意か)、知らないか(善意か)によって時効取得するための占有に必要な年数は異なります。
時効取得の4要件
たとえば、土地を長年にわたって占有していた場合、以下の要件を全て満たすと時効取得が認められます。
①所有の意思をもって占有していること
土地の時効取得は「所有の意思」が要件になっており、自分の土地である(所有者である)との意思を持って占有(自主占有)していれば、所有の意思が認められます。
②平穏かつ公然の占有であること
土地を時効取得する際の「平穏かつ公然」とは、以下のように占有している状況です。
・平穏:脅迫や暴力などの違法行為を用いた占有ではないこと
・公然:所有者や権利関係者に隠ぺいすることなく土地を占有していること
平穏については、自分の土地だと信じて占有しており、親族とのトラブルも起きていないような状況が挙げられます。公然の場合、占有の事実を隠していなければ、特に問題なく成立します。なお、民法第186条第1項では、占有者は「所有の意思があり、善意で平穏かつ公然に占有するものと推定される」としています。つまり、占有者は、所有の意思、平穏と公然の要件を満たしていると推定されるため、土地の時効取得をめぐって争う場合、取得時効の成立を争う者(所有者)が占有者の占有は他主占有であること、平穏かつ公然ではなかったことを証明しなければなりません。
③占有が一定期間続いていること
土地を時効取得する場合、以下の占有期間を満たしていることも要件になります。
・占有開始時に善意無過失の場合:10年
・占有開始時に善意有過失または悪意の場合:20年
善意無過失とは、占有者に悪意や落ち度がなく、自分の土地だと信じて占有していた状況です。一方、悪意はなくても可能だったはずの所有権確認を怠るなど占有者に落ち度があれば善意有過失となり、他人所有の土地だと知っていた場合は悪意とみなされます。なお、民法第186条第1項により、占有開始時に占有者が善意であったことは推定されますが、無過失であったことについては推定されないため、占有者が10年の時効取得を主張する場合には、占有開始時に無過失であったことを立証する必要があります。
④所有者へ時効の完成を主張すること
土地を所有する意思があり、平穏かつ公然と占有していたときは、10年または20年経過後に時効の完成を権利関係者へ主張してください。この主張を時効の援用といいます。


敷地権 (不動産登記法44条1項9号、区分所有法22条1項)
敷地権(敷地利用権)は、区分所有建物(分譲マンション)における建物(一部屋/専有部分)と一体化した土地の権利です。分譲マンションを購入した場合、独立した住居の部分(一部屋/専有部分)を所有する権利(区分所有権)とその土地の内その一部屋に対応する敷地権を所有します。

「区分所有権」は、分譲マンションのように一棟の建物が2つ以上の部屋に区切られ、それぞれ別個の部分を所有する権利です。分譲マンションの購入者は、購入した部屋の部分(専有部分)とエレベーターや階段などの共用部分を使えます。共用部分を使用・維持する費用として共益費を支払います。区分所有法22条1項により、原則として、分譲マンションの「専有部分」と「敷地権」は別々に処分することができません(分離処分禁止)。
まとめ
占有権は物を支配する権利ですが、所有権と占有権では支配の度合いが異なります。所有権は直接・全面的に物を支配して使用・処分・収益でき、占有権はあくまで事実上の支配を認める権利です。つまり、所有権の方は占有権よりも強い権利です。なお、所有権は登記できますが、占有権は登記できません。
また、所有権と敷地権は似ていますが、所有権の場合は建物と土地を分離処分が可能であるのに対し、敷地権の場合は独立した住居の部分(専有部分)と分離処分はできません。分譲マンションは「専有部分」がメインであり、それに対応する「敷地権」だけを取得しようと思わないし、取得する意味が無いからです。
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