相続税の税務調査

相続税の申告書を提出し、税務調査が入る割合はおよそ5件に1件、約2割の確率です。さらに、そのうちの8割以上で何らかの申告漏れが指摘され、追加の税金が徴収されます。相続税の税務調査から逃げたり、拒否したりすることは可能でしょうか?

結論は、「税務調査は逃げることも拒否することも出来ません!」下手に抵抗したり逃亡したりすれば、その先には不幸しか待っていないんです。

税務調査は任意って聞いたけど拒否出来るの?

たまにお客さんから「仮に税務調査の対象となった場合には、調査を「拒否」することは出来るのでしょうか?」という質問を受けることがありますが、税務調査を拒否することは出来ません!一般的に税務調査は「強制調査」ではなく「任意調査」という分類になるので、「調査を受ける受けないは任意なんでしょ?」と、勘違いされる方が多いのですが、税務調査における「任意」というのは、調査を受けるか受けないのかの意思を問うているのではなく、調査時における通帳や書類、パソコンのデータや金庫の中身など、これらを調べる際に相続人の方に調べる許可を問うという、その任意を指すんです。

納税者には納税の義務と同時に、「税務調査に応じなければならない」という義務があるので、税務調査は拒否することが出来ないということです。では、通帳や金庫の中身を見せてくれと言われた場合には、それは任意だから断ることが出来るのかと言われれば、出来なくはありませんが、あまりオススメはしません。なぜなら、あまりにも強気に反論したり、調査に非協力的な態度を繰り返していると、調査官の闘志に火をつけてしまい、調査が無駄に長引きますので、出来るだけ調査には協力的な態度で応じた方が良いと思います。

相続税の無申告はバレるのか

相続税の申告義務があるにもかかわらず、申告しないとどうなるのでしょうか。相続税の申告は、「被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」に行うこととされおり、申告期限を過ぎると無申告として扱われます。申告をしなかった場合や実際の金額より少なく申告した場合などには、本来納めるべき相続税のほかに、加算税や延滞税を課される可能性があります。

「相続税を申告しなくてもバレずに済むのでは?」と考える方がいらっしゃるかもしれません。しかし、相続税の無申告は発覚する可能性が高いでしょう。

税務署の調査力は侮れない

なぜ相続税の無申告は見つかってしまうのでしょうか。それは、税務署にはKSK(国税総合管理)システムをはじめとする強い調査力があるからです。KSKシステムとは、コンピューターシステムによって国税庁と全国の税務署をネットワークで結び、納税者ごとの申告・納税実績やその他さまざまな情報を一元的に管理する仕組みのことです。このシステムを利用することで、過去の所得税や固定資産税の情報から死亡までの収入、所有する不動産情報など、あらゆる情報が手に入ります。
また、被相続人が亡くなり死亡届が市町村役場に提出されると、役場が受理した日の翌月末までに税務署に対して死亡の情報が伝わります。さらに、税務署は相続人の了解を得ずとも強制調査をする権限が与えられています。例えば、金融機関は預金者の取引履歴を10年間保管する義務がありますが、税務署はこの情報を調べることができます。

相続税が無申告だった場合のペナルティ

相続税の申告を怠ってしまった場合は、ペナルティとして延滞税・無申告加算税・重加算税・過少申告加算税を加算されます。ペナルティはどのような場合に適用され、どのくらいの金額が加算されるのでしょうか。

1.延滞税

相続税の納付が遅れた場合、延滞税がかかります。延滞税は原則として納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課されます。いわゆる利息にあたるものです。延滞税がかかるケースは主に3つあります。
1つ目は、納期限までに税金を納めていない場合です。相続税の申告書は提出したものの、納期限までに納税していないという場合です。
2つ目は、期限後申告または修正申告した場合です。相続税の申告期限までに申告と納税がどちらもできておらず、期限後に申告もしくは修正申告をした場合を指します。修正申告とは、計算や財産評価額の誤りを正し、少ない金額を申告し直すことです。修正申告によって納税が遅れた期間分の延滞税が発生します。
3つ目は、税務署による更正または決定の処分を受けた場合です。税務調査によって申告した税額が過少だと判断される、もしくは無申告だと発覚した場合に、指摘された税額に対して納付が遅れた日数分だけ延滞税がかかります。
なお、延滞税の税率は毎年変動しますが、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は税率が高くなる(約7%→約14%)点はご注意ください。

2.無申告加算税

正当な理由がなく申告期限までに相続税の申告を怠った場合には、無申告加算税が課税されます。無申告加算税を課されるのは以下の3つのケースです。
1つ目は、申告期限が過ぎた後に自主的に申告した場合です。この場合は、追加納付した相続税の額の5%を無申告加算税として納付する必要があります。ただし、申告期限を過ぎていても1か月以内に早急に申告した場合等の一定の条件を満たした場合には、無申告加算税はかかりません。
2つ目は、税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに申告した場合です。税率は追加納付した税額の10%ですが、追加納付した額が50万円を超える部分は15%となります。
3つ目は、税務調査によって無申告が発覚した後に申告した場合です。税率は追加納付した税額の15%ですが、追加納付した額が50万円を超える部分は20%課税されます。

3.重加算税

相続税を少しでも減らそう、または相続税を払いたくないといって故意に相続財産を隠した場合などには、重加算税の対象となります。
申告書の中身に虚偽や隠ぺいが発覚した場合には足りない分の相続税を支払うこととなりますが、無申告加算税に代えて重加算税として課税されます。無申告の場合の重加算税は、追加納付した税額の40%が加算されます。さらに、過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されていた場合の税率は50%となります。

4.過少申告加算税

当初申告した税額が本来の税額より少なかった場合は過少申告加算税を課されます。ただし、税務署から指摘される前に自主的に修正申告した場合はかかりません。
税率は、税務調査の事前通知から税務調査までに修正申告した場合は5%ですが、期限内に申告納税した額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%です。
税務調査を受けてから修正申告した場合または更正を受けた場合の税率は10%ですが、期限内に申告納税した額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%となります。

相続税の無申告は危険!必要な人は必ず行うこと

相続税を申告しなかった場合や虚偽の内容で申告していた場合などには、発覚した際に大きなペナルティが発生してしまいます。本来納付するべき額に加えて多額の加算税や延滞税を課されることのないよう、法定の期限までに正しく申告・納税することが大切です。

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