相続税対策としての不動産投資

相続税の節税対策としての不動産購入やアパート経営はオススメしません!

不動産業者の方から、こんな風に声を掛けられたらどう思いますか?
「活用出来ていない土地にアパートを建てませんか?」
「アパートを建てれば、賃貸収入も確保しつつ、将来の相続税が何百万も安くなりますよ!」

この不動産業者のセールストークを信じて、相続税節税のためにアパートを建てるべきでしょうか?

実際、「机上の計算」では
・現預金をそのまま持って亡くなるより、
・土地を買い、建物を建てて人に貸し出す方が将来の相続税額は何百万円も下げることができます。

不動産投資は「机上の計算」だけで考えてはいけません!不動産投資のリスクを考える必要があります。

なぜ土地購入・アパート経営は相続税対策に有効?

「相続税対策に不動産の購入やアパート経営が有効」と言われて理由は、以下です。

①土地や建物の相続税評価額が実際の時価よりも低いこと
②更地の土地よりも、建物が建っていたり、土地を貸していたら、相続税評価額が更に下がること
③不動産の購入費やアパートの建築費を金融機関から借りる場合、借りたお金を相続税の課税対象から控除できること

詳細な計算方法、どれだけの節税効果があるかは上記のとおりです。この評価減に合わせて上記③の借りたお金を控除できるという理由で「不動産の購入は相続税の節税に有効」と言われて、定期的な賃料収入が入ること、売却すればお金に戻せることもメリットとして不動産業者はアピールします。

節税のための不動産購入、アパート経営のリスクとは?

その不動産について、以下を考えてください。

「不動産業者から購入を勧められた土地や建物、アパート経営を勧められた未活用の土地、それらの物件ってどこにありますか?」

公共交通機関(駅やバス停)は近くにありますか?
公共施設(病院や学校)は、近くにありますか?
生活用品などを売っているスーパーは近くにありますか?

少子高齢化となり、公共交通機関へのアクセスが悪い物件は、「売りたいときに買い手がつきにくい、アパートを建てても入居者が集まりません」
以下はR7.1.20の日経記事の抜粋です。
マンションの高齢化(老朽化が進めば管理が行き届かない建物が増える)との3面記事とともに、1面で「戦後の高度成長期を中心に、政府は郊外の集合住宅の建設を後押しして人口増の需要に応えてきた。人口減少時代に入り、公共交通や病院が整う都市部のマンションの新陳代謝を重視する政策に改める。」とありました。
また、R7.1.24の日経記事には以下のような記事がありました。
『交付金、「街の集約」を前提』と記事タイトルで「政府は商業施設や住宅を市街地に集約する「コンパクトシティー」づくりを促す予算措置をとる。・・人口減や高齢化が進む中、一定の人口密度を保つことで公共サービスや生活関連施設などを維持できるようにする。」とありました。同記事中には、日本の将来推計人口は2050年に現在よりおよそ2,000万人(2割)減るとありました。
アクセスが悪い物件の今後の需要は減っていくことが考えられます。

仮に、立地条件の良い場所だったとしても、アパートの場合、鉄骨造りなら耐用年数は27年~34年です。アパートが新しいうちは、少々家賃が高くても入居希望者もいるでしょうし、空き部屋が出ても直ぐに新しい人が入るでしょう。
年数が経てばどうでしょう?古い部屋に住みたいという人はどんな人でしょう。家賃を安くしないといけなくなります。空室が目立ってきます。古くなった所の修繕が必要になってきます。場合によっては立退料を支払わないといけないこともありえます。

数多くの相続税事案を見た経験から

亡くなった方の総財産のうち、不動産の所有割合が多いケース。。相続人が遺産分割協議で揉めて、いわゆる争族に発展する可能性が高いです。
自分の相続人(お子様)のことを考えて争いの種を遺さないようにされるのが良いと考えます。

もし亡くなった方に手持ちの金融資産がなく、アパート建築に関する借入金の返済を家賃収入で賄うつもりであれば、残された相続人はもう最悪です。
・誰がその不動産を相続して管理・運用をするのか(現役の相続人であれば、それぞれに自分の仕事があるのに。。)
・相続人が共有で相続することになったら、さらにその後の相続で共有者が増えるリスクがある
・亡くなるまでに認知症になると、その不動産の売却(売買契約)ができなくなってしまう(現金化することすらできない)

相続税の節税自体は出来たとしても、それ以上に売れないアパートの管理や銀行への借入金の負債を背負うことになるリスクがあります。

数百万円の節税のため、不動産管理の負担、相続人の争いの種を作りますか?
不動産投資をして儲かるのは、新築等の手数料を得る不動産会社と借入金手数料を得る金融機関です。

それでも「相続税対策としての不動産投資」をお考えなら

不動産業者のパンフレットは良く出来ています。

「賃貸収入でゆとりのある生活を!」
「将来の相続税の節税対策になる!」
「売却すれば利益にもなる!」・・つい引き込まれそうになります。

「土地の場所はどこですか?公共交通機関、公共施設、スーパーなどは近くにありますか?」

土地の価格は二極化傾向しています。
公共交通機関の近くなら、土地の価格は上がる傾向ですが、離れると下がる傾向です。
新築アパートを建てたとして、新築当初は思ったとおりの利益が出るでしょう。
年数が経ったときのことを考えていますか?

十分な余裕資金で計画をもって不動産投資をすることはとても良いことだと思いますが、
「相続税対策としての不動産投資」はリスク判断が大切です。不動産や相続に詳しい専門家に相談されることをオススメします。

不動産投資をするのであれば、節税のためではなく、資産を増やしてやる!くらいの考えで実行すべきです。
最終的に残ったものが「どうにもならない不動産と借金、相続人の争いの種」となる人が出ないことを考えるばかりです。

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