目次
1. 生前対策Q&A
2. 生前対策の目的
3. 生前対策で大切にすべき3つのポイント
4. 5つの生前対策
5. 終わりに
1. 生前対策Q&A

生前対策として、生前贈与・資産の組換え(生命保険の活用など)・遺言・任意後見等・家族信託の5つがあります。

認知症の有病率は65歳頃から増え始め、高齢者の約7人に1人が認知症、約4人に1人が認知症又は軽度認知症と言われています。※参考 厚生労働省ホームページ
認知症になると、生前対策ができなくなります。認知症になって慌てないためにも生前対策は早めに始めることが大切です。とくに、総資産が大きく相続税が多くなりそうで、所有不動産が多い・相続人数が多くて分割が大変そう・納税資金確保が心配などで相続人に負担を強いるおそれが高い方は、積極的な生前対策の検討をおすすめします。

生前対策をした後に生活や資産状況が大きく変わると、対策内容の見直しが必要となる場合があります。そのため、定年退職されたときなど生活の落ち着くタイミングが生前対策の検討を始める時期としては適しています。また、孫が生まれたときなど、家族状況が変わったときもおすすめです。生前贈与により、財産を早めに移転して活用してもらってはいかがでしょうか。
2. 生前対策の目的

不動産を売却して現金化したり、遺産分割方法を遺言書に遺したり、賃貸不動産を家族信託の目的とするなど、ご自身の意向を明確に示すことで、相続トラブルを未然に回避することができます。

相続税を減らすため、生前贈与をしたり、資産の組換え(生命保険に組換えることで相続税法上の非課税枠をを利用する)などの方法を用います。

資産の大半が不動産である場合、相続人が納税資金(現預金)を準備しなければいけません。将来の相続で相続税がいくらかかり、納税資金を確保できるか、事前にシミュレーションすることをおすすめします。
不動産の一部を売却して現預金で相続すれば納税資金を確保することができます。また、生命保険を利用することでも、相続人の納税資金を確保することができます。

認知症になると、銀行口座が凍結されたり、介護施設への入居資金目的であっても不動産を売却できなくなります。しかし、任意後見や家族信託を利用すれば、認知症などで判断能力が低下した後の財産管理・処分を家族などに任せることができます。家族信託の場合、遺言や任意後見などとの併用を推奨しますが、財産管理・処分だけでなく資産を誰が相続するかなどを信託契約で設定できる点が効果的です。
3. 生前対策で大切にすべき3つのポイント

財産を残す人自身がどうしたいのか、ご自身の希望を明確にしておくことが大切です。希望を明確にしないまま対策を考え始めると、方向性が定まらず適切な対策ができません。

上記のとおり、生前対策として、生前贈与・遺言・資産の組換え(生命保険の活用など)・任意後見等・家族信託の5つがあります。対策ごとの特徴やメリット・デメリットを比較・検討して決めることが大切です。事前検討をしっかり行うことで、ご自身の状況に最も適した生前対策が行えます。

生前対策は認知症になった後ではできないため、認知症発症前に生前対策を終えておけるかどうかが大切なポイントです。

ちょっと一服。。
4. 5つの生前対策

総遺産が多額である場合、相続税の対象税率が高くなります(最高税率55%)。そのため、あえて贈与税がかかってでも、生前贈与をすることが有効な場合があります。相続税及び贈与税のトータル負担額がなにもしない時と比べてどの程度減るか、資産税専門の税理士であればシミュレーションできるため、ぜひご相談ください。

資産の組換えでよく使われるのは生命保険の活用です。死亡保険金は、遺産分割協議の対象外であり、受取人が単独で請求してすぐに受け取れます。また、相続税法上の非課税枠の適用があり、節税対策としても有効です。
不動産を売却して、遺産分割がしやすい現預金への資産の組換えも相続トラブル対策としては有効です。

遺言は、人の最終意思を尊重する制度であり、死後の財産処分を自由にできます。適切な遺産分割方法を遺言に遺しておけば、遺産分割協議が不要となり、相続人間の相続トラブル対策になります。
ただし、遺言の効力発生後(亡くなった後)に本人の真意は当然に確認できず、また、他人による改変のおそれがあるため、厳格な要式行為とされています。つまり、一定の要件を満たさない遺言は無効です。
→遺言について、詳しくはこちらを参照ください。

任意後見契約は、本人が元気なうちに後見人を自らで選び、認知症などで判断能力が低下した際にその後見人に特定事務を任せるものです。この契約だけでは、判断能力が低下するまでの間の対応できない空白期間があるため、見守り契約や財産管理契約などとセットで締結することが一般的です。
→任意後見等について、詳しくはこちらを参照ください。

家族信託契約は、「後見的な財産管理機能の仕組み」と通常の民法では無効とされていた二次相続以降の「資産承継の仕組み」を有しているものです。通常の民法では無効とされていた二次相続以降の財産の承継先も指定できるため、受益者連続型(認知症の妻を経由した資産承継先の指定)などが実現できます。
→家族信託とその事例について、こちらを参照ください。
5. 終わりに

老後の安心設計として、遺言・任意後見等のセットが主流です。本人の意思を尊重するため、元気なうちに、認知症のリスクや亡くなった後の手続きを考えるようにしましょう。

家族信託が、後見制度の代用となる上に資産承継先の指定機能などを持つことから、注目されています。
認知症になった場合、任意後見では厳格な成年後見制度の枠に取り込まれる一方、家族信託では受託者の任務に影響させずに継続できるなど柔軟な信託設計ができます。

遺言をはじめ、家族信託などを利用するにしても、それぞれの事情によって最適な方法は異なります。生前対策を行った一時点でなく、最後の時を迎えるまで末永いお付き合いが必要です。生前対策を行う場合は、対策費用がどうしても高くなることをご承知おきください。

とくに信託制度は難解な仕組みであり、高い報酬だけを目当てに説明義務責任を果たさずに裁判となった事例が見受けられます。信託は、特別の研鑽を積んだ専門家の関与無しには成り立たない法律ツールとも言われ、倫理観が高く、税務・法務に強い専門家への相談が必要です。
一般社団法人 民事信託推進センターが一定の民事信託の研修を受けた「弁護士・司法書士のみ」に認定を与える「民事信託士」など、一定の税務・法務知識を有する専門家にぜひご相談ください。



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